籠原スナヲ氏のレビューをレビューする[1つ目]


抵抗としての生、救済としての死 ――TVアニメ『Angel Beats!』論


作品の新視点の開拓度:★★★★
レビューとしての有益度:★★★★
レビューとしての面白さ:★★

総括:★★★★

 

このレビューの良さは、『AngelBeats』最終回時の音無結弦の不可解な行動に光を当てたことだろう。おそらく放送当時は、多くの視聴者が音無が奏に「この世界へ残ろう」と宣言するシーンに憤ったり困惑したのではないかと思う。(私自身はそうではなかったが受け入れ難かった人が多かっただろうというのは想像に難くない)

何故なら、それは彼が今まで仲間を救済してきたことへの否定であったからだ。

しかしこの後の奏と音無の対話を見る限り明らかではあるが、最後に彼は最愛の人を見送ったのだ。彼は残ろうと思ったかもしれない、しかし結局は奏の意志を尊重し離別をよしとした。

私のABの見立てはここの「あらゆる人間が、人生の最後の一瞬に全ての未練をなくせる事の尊さ」とでも呼ぶべきものであり、それをAngelBeatsは最後まで一貫しているのである。

ただし、それを多くの人が受け止めきれたか、そう納得できたかと言われれば、「そうではなかった」というのが世間の反応だったように考えている。

籠原スナヲ氏のAB論では、そういった音無への視聴者の不満を「救済としての死」「抵抗としての生」の2つの考え方を引き合いにしながら、音無結弦の一連の行動が自然であり、かつ人生賛歌足りえるという視点を提供している。

 

それはあたかも、救済としての死(立華かなで)に回収され抑圧されてしまった抵抗としての生(仲村ゆり)が、再び息を吹き返したかのようだ。筆者には、急な展開の連続の果てに待っていたこの最も唐突なエピソードこそ、実は本作においてただひとつ自然なものだったように感じられる。

――抵抗としての生、救済としての死 ――TVアニメ『Angel Beats!』論 



故に、13話『Graduation』の音無結弦に不満を持っている人は、"そうではなかったかもしれない" という新しい考え方を発見できる良いレビューであると思う。